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難解な秋の日

0075 秋晴れなので、という理由で近所の神奈川県立近代文学館に行きました。この館は横浜の観光地である”山手・港の見える丘公園”内にあり、横浜・神奈川ゆかりの近代文学の作家達の業績などを、テーマに沿って展示しています。

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秋晴れという理由はともあれ、今回の展示テーマが、~無限大の宇宙・埴谷雄高『死霊』展~、というもので、日本で一番難しいといわれる未完の大作『死霊』を書いた埴谷雄高の業績が、どのような展示になるのか、些か興味を持っていました。(~11月25日)

難解な文学といえば、マルセル・プルースト、ジェイムズ・ジョイスなど外国の作家による小説が有名ですが、国内での難解文学の最高峰といわれる埴谷雄高のライフワーク『死霊』の世界を”見せる”ための工夫がどのようにされているのか、展示に興味を持って入館しましたが・・・・、

0076 案の定というか、仕方の無いことというか、会場は文字説明パネルの多い展示になっていました。そしてこのパネルも難解で、曰く(作品は)『虚体、虚数、虚在、夢魔、最後の審判、無限大、未出現、存在の電話箱、自分だけで行なう革命、暗黒速、念速、と多くの概念が具象性を持って描かれている』などと書かれているパネルが多数展示してあり、それを読んでいるうちに、次第に学生の頃の年表暗記の時間にも似た睡魔が襲ってきました。

パネル以外に展示されている、愛用の万年筆、自筆原稿、小学校時代の絵などは作家の面影を偲ばせるものでしたし、文学仲間達との写真も多数展示されていて、作家の日常生活の匂いが感じられました。しかし、作家の日常の匂いと作品とのあまりの世界の違いに、繋がらないものを感じたのも事実です。

埴谷雄高(はにや ゆたか、本名:般若 豊)は1909年生まれ。幼少の頃から身体が弱く、常に死を身近に感じている子供だったといいます。若年の頃、思想家マックス・シュティルナーに影響を受け、その延長線上で後年、ドフトエフスキーやカントに傾向していったということです。結婚してから腸結核を罹病し、四年間の闘病生活も経験しています。1997年没。享年87歳。

展示パネルの話に戻ります。『生き方が暴力的にしか現れない人間を、惟観しているだけの人物が、一歩を踏み出せない人間の精神内部を掘り下げるとどうなるかを(作家は)考えようとした。』また『私は私であることに不快だ=自同律の不快、から、創造的虚在である虚体を創造する小説へと発展していった。』・・・・・・。

これは読んで理解するのに、相当な思考的鍛錬を必要とするパネルです。些かでも理解するのに相当の時間を要します。

『死霊』は、単純に云ってしまえば「自分とは何か」を問い続けた作品ですが、埴谷雄高は当初、主人公の五日間の出来事を扱う小説にしようと考えて執筆を開始したそうです。しかし実際には三日間の出来事を扱ったところで作家の死去により、この世界文学史上未曾有の形而上小説は未完の大作となりました。

沢山の文学賞を受賞しつつ、約50年間を一作だけに集中する力というものは、常人では及びもつかない精神力、内部洞察力、思考の展開などが必要なのだろうと思います。

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文学館という施設は全国にありますが、ほとんどの館は、他の文学関係者などとの写真、自筆原稿、初版本、愛用していた筆記用具などの展示がされています。そして文字の説明パネルです。作品の世界と作者の日常という二つの面を観せることが、概ねの文学館での常道、のようですが、あまりにも類型的な展示は、飽きます。常に新しい展示方法を心がけるのが文学館スタッフの責務とも思います。文字の世界と展示というビジュアルの融合を期待したいと思います。

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説明パネルまで難解な会場を後にする頃には、真剣に、自分の頭を休める方法を考えました。

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<きょうのおまけ>

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『蕎麦猪口』(江戸後期)

新蕎麦の季節です。マイ蕎麦猪口を持って、蕎麦屋に行くのも乙なもので・・・。

この蕎麦猪口にご興味がお有りの方は、コメントなどお寄せ下さい。

詳しいご説明をさせていただきます。

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071029_101401_5 「私達姉妹は、一応?ナカヨシです。左が姉の蕾(つぼみ)。右が妹の菫(すみれ)です。」

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右の薔薇は、秋の「イレーネ・ワッツ」です。我が家のベランダ薔薇園は今、サマースノウ、フェリシア、カクテルと秋薔薇が満開です。

ではまた。

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コメント

こんにちは、またお邪魔します。いつも素敵なブログを拝見して「あ~勉強になるなア~」って思ってます。

とても可愛い蕾ちゃん・菫ちゃんには赤ちゃんはいないのですか?
私もこんな可愛い猫ちゃんを飼いたいです。

薔薇の花もきれいですね。素敵です^^参考にさせて頂きます。

投稿 kohu0907 | 2007年11月 2日 (金) 午前 11時23分

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