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立派なコレクションではあるけど、展示が残念!

浅学の徒であれば、聞きかじりのことで皆様にはお許しいただきたいのですが、このブログをお読みいただいている皆様は、キスト、ディナール、ハッルーバ、キーラートなどという言葉をご存知でしょうか?。

これらは紀元600年~1500年頃にかけてのエジプトの人達が使っていた、様々な重量単位、貨幣単位などの名前です。

0055 重量などを規定する度量衡というものは、その時代の生活を知るのに欠かせない生活単位として、歴史学や生活史を辿るのに不可欠な要素でもあるのですが、今回、横浜の中区にある横浜ユーラシア文化館で催されている『エジプトの小さなガラスの円盤~中世イスラーム都市のくらし~』という展覧会(~5月18日)で、このような様々な古代の単位を知る貴重な機会を得ました。

0057 この展覧会は大まかにいえば、古代エジプトのスーク(市場)で使われていた、液体などの量を測るためのガラス製計量枡などに付けられた、その瓶の容量などを示すガラスの丸い印刻(グラス・ウエイト)の収集品、つまり本体の計量瓶、計量枡などから剥がされた、容量・単位を示す小さなガラスの円盤を展示したもので、地味でディープなコレクションですが、それぞれのガラスの色や形状、そしてその単位を利用しながら生活していた、当時のエジプトの人達の生活を彷彿とさせる、極めて滋味深いものでした。

現在でも時代もので高級なワインや、洋酒などの瓶にエンブレム(紋章)のようなガラスの丸い刻印が付いているものがありますが、現在は内容量などを示すものではなくて、威厳を示すために成されているようです。しかし、古代エジプトのイスラーム社会では、瓶の内容量、または貨幣の単位などを示すために、ガラスを溶かし、内容、価値、重さの証明として瓶や計量枡に鉄の刻印棒で押し付け、その容器の証明としたようです。(ヴェセル・スタンプというそうです)また、コインの証明であるコイン・ウエイトと呼ばれる刻印などもあり、それらの刻印のガラスの小さな円盤を収集したものが、今回の展示です。

0053_2 展示を観ると、前述したように当時の様々な重量の単位ばかりでなく、貨幣の単位、名称などが分かりますが、天邪鬼の私は、コレクターがこのディープな蒐集のためにどれだけの時間と金額を必要としたのか、などと下世話なことを考えてしまいました。蒐集したさまざまな瓶や、ガラス片などは無数であったと思われ、それらの中から、単位が明確なものや、希少なもの、また歴史的に重要な意味を持つものなどを選別し、系統的で学術的な裏付けをするのに、どれだけの時間と情熱が費やされたのかを考えると、その地道な努力に頭が下がる思いがすると同時に、素晴らしい時間の使い方だ、などと考えてしまいます。

0054 このようなコレクションを蒐集するためには、エジプトに於ける中世イスラーム世界の仕組みや、生活、またその刻印に記された文字の読み解き、そして、その度量衡や貨幣の単位が人びとの生活にどれだけの影響、恩恵をもたらしていたか、などの、いわば中世イスラームの生活史を勉強しなくてはならず、一般的な興味だけでのコレクションではなく、紀元後のエジプト史といった裏付けも必要となり、小さなガラスの円盤といった可愛い外見とは裏腹に驚くべき学術的コレクションといっていいと思います。

0056 勿論、門外漢の私などには、この小さな円盤の刻印のアラビア文字やコプト数字、マークなどの内容などは読めないうえに、その詳細は知りえないことではありますが、これらヴェセル・スタンプの他に展示されている当時のさまざまな計量器や、生活用具などを観ても、古代エジプト・イスラーム文化の質の高さ、文化度に感嘆しました。

久しぶりにディープな内容の展示を観て、己の浅学、不勉強が恥ずかしくなりました。但し、恥かしく思ったのは展示物の詳細を知り得なかったことであって、展示の演出は、通り一遍で、正直いって詰まらないものでした。もっと入館者に生々しく訴えかける展示ができたはずなのに、という残念な想いが残りました。また、各展示物の説明文が不親切であったのも、展示担当者の思いの浅さを感じました。

いずれの美術館、博物館などに云えることですが、展示物の展示演出方法は、もう担当学芸員等のセンスの領域ではないことを、展示する側はもっと知るべきだと思います。展示資料を整えるのは企画と共に学芸員の仕事であると思いますが、その資料を展示するのは展示のセンスを持った専門員の領域、ということです。

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<きょうのおまけ>

0013 『土製オイルランプ』(古代ローマ時代)

長10・7cm、幅7cm。

このランプにご興味がお有りの方はメール&コメントをお寄せ下さい。詳しいご説明を致します。

yoshida art

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071207_073901 「もう、虫サンが動き出したンですって?。啓蟄っていうの?。虫サンは食べたいほど可愛いワよネエ?。」

ではまた。

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