アール・デコと狛犬
都心や周辺の地域では櫻の季節も過ぎ、このブログもそのあたりのほぼ一ヶ月程お休みしました。お読み頂いている皆様には大変失礼を致しました。
先日、東京都港区白金台にある『東京都庭園美術館』に行ってきました。この美術館はご存知のように、旧宮家の朝香宮(あさかのみや)邸を美術館としたものですが、およそ一万坪の敷地の中にある、国内で現存する唯一といっていいアール・デコ様式の建物です。
朝香宮は、明治39年に久邇宮家朝彦王の第八王子、鳩彦王(やすひこおう)が創設された宮家ですが、戦後、昭和22年に皇籍を離脱されています。この間、鳩彦王はフランスに留学し、当時のフランス芸術に心酔されたようです。そして昭和4年、現在に残る朝香宮邸を建設されました。基本設計は当時の宮内省内匠寮の建築家が担当しましたが、鳩彦王がフランスの装飾デザイナー、アンリ・ルパン氏に、大食堂、大客間、書斎などの主要部屋の内装デザインを依頼したそうです。玄関の大きなガラスレリーフは、ルネ・ラリックの作品という、フランスを代表するアール・デコの作家達が腕をふるった建物です。当時はこの建物に朝香宮家6人の家族が暮らし、20人以上の使用人が常駐していたといいます。宮家が皇籍離脱後、この建物をお気に入りだった当時の外相、吉田茂が公邸として、首相となってからは迎賓館として使いました。その後東京都が買い取り、昭和58年に現在の東京都庭園美術館として生まれ変わりました。また平成5年に東京都有形文化財に指定されています。
鳩彦王がフランス留学中に、義兄の北白川宮成久王夫妻とのドライブで事故を起されて、運転していた成久王は死去。夫人と鳩彦王も重傷を負ったという事件がありました。鳩彦王は看病に駆けつけた允子夫人と共に3年半程の療養生活を送られたことがあり、そういった思い出と共に、この建物を建設されたという話も聞きました。
ところで。この美術館の入り口の両脇には、青銅製の狛犬が居るのです。左の『阿』の狛犬は、丸い籠に入った珠を前足で押さえ、右側の『吽』の狛犬は、仔狛犬を遊ばせて?います。狛犬自体もかなり大きなもので、座った高さは1メートル以上もあります。
アール・デコの建物の入り口に狛犬、というのは、イメージがなかなか面白いので館に伺ったところ、「朝香宮家のどなたか(多分、鳩彦王)が、骨董店で購入し、以
前は朝香宮別家に置いていたのだが、その後こちらに移したもの・・・らしい」ということでした。なお「狛犬の製作者や来歴は調査中です」というお話でもありました。
この季節、美術館の周囲は美しい新緑に包まれて、配置されている白い椅子、テーブルには、近所の若い奥様達が子供を連れてきて憩う、という光景を眺めつつ、「なぜ、狛犬???」という謎を考え続けたました。しかし、アール・デコを愛でるような方は、日本の古美術にも興味があるのは当然で、鳩彦王も骨董、古美術店に足繁く通っていらっしゃったのではないか、と想像を逞しくしました。
狛犬の「コワイイ(怖い+カワイイ)」顔は、心和ませるものでした。
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<きょうのおまけ>
(19世紀、フランス)
長15.3cm。
このくるみ割りにご興味のお有りの方は、コメント&メールをお寄せ下さい。詳しいご説明を致します。
yoshida art
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ではまた。
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