人の寿命、絵の寿命
東京都台東区の上野公園に出かけました。公園内にはさまざまな美術館、博物館がありますが、今回訪れたのは国立西洋美術館。現在開催されている企画展は、デンマークの画家『ヴィルヘルム・ハンマースホイ~静かなる詩情~』というものですが、今回は企画展は観ずに、常設展を観ることにしました。
この美術館は、元・川崎造船所の社長だった松方幸次郎が収集した美術コレクションを母体に1959年に設立された館です。ご存知のように松方は、大正、昭和にかけての実業家ですが、貨物船の売り込み、資材の買い付けなどで訪れたロンドンで、1000点以上の作品を収集したり、フランスの実業家が保持していた浮世絵など8000点も購入するというコレクターでヨーロッパ各地で美術品を蒐集しました。
その後、購入地にあったそのコレクションは世界大恐慌による川崎造船所の破綻、第二次大戦後の戦勝国による作品の差し押さえなどで、作品の多くは数々の運命を辿り散逸しましたが、フランスが差し押さえていた数千点の作品の内、絵画196点、版画26点、彫刻63点、書籍など370点が、美術館に展示するという条件で返還されることになり、国立西洋美術館で公開されることになったというものです。
ところで今回、企画展を観ずに、常設展を観ようと思ったのは、美術館の収蔵作品を観れば、その館の実力、ポリシーなどが窺えるという、これは美術館探訪者の常道ともいえる考えからです。企画展は内容によって作品自体は他の館などから借りてきても成り立つものですが、常設展はその館が収蔵している作品の展示でもあるので、館のバックグラウンドが現れるものです。
世の美術館、博物館は、企画展は麗々しいのですが、こと常設展となると大変に貧弱な展示になり、がっかりする場合が多く、館の裏側が透けて見えることが往々にしてあります。収集している作品の常設展示は、ある意味、館自体の経営状態を示すものでもあります。また館の学芸員の見識を問うものでもあり、慎ましやかな常設展でも、学芸員の企画が光るものもあります。
松方コレクションを母体とした、この館の収蔵品はルネサンス以降の西洋美術の流れを観ることができるものでもあります。今回の常設展でも、14~16世紀イタリア絵画、15~17世紀北方絵画、17世紀イタリア絵画、17~19世紀初頭の風景画など96点が展示されています。
展示作品の14~16世紀のイタリア絵画などは、聖書の場面説明の作品が多く、旧約聖書を読んでいないとなかなか難しく、さまざまな約束事が理解できていないと鑑賞しきれないという感じはしますが、その筆致の確かさ、構成の巧みさなど、600年を経た作品の力に圧倒される作品ばかりです。
今回の展示で大変興味深かったことに、会場の照明のことがあります。いずれの作品も、大変観やすい照明だったと思います。このところあちこちの展覧会で、「作品保護のために照明を落として展示しています」という但し書き付きで、本当に薄暗い照明で作品展示している場合があります。たしかに古く、貴重な作品なのでしょうが、私などは、こういったことは作品が公開展示に耐えないもの、として観てしまいます。
例えば鎌倉にある大谷美術館は、室内光はほどほどに押さえ、広い窓からの外光で作品を見せるような配慮をしています。室内に飾った絵画を、窓からの外光による間接照明で見せる、という工夫です。大きな美術館でこのような採光は困難なことは理解できますが、作品保護のための薄暗い照明というのは如何なものか、と思います。
明るい光の中で作品が観られない、作品が一般展示の照明に耐えられないということは、その作品の役目は終わっているのではないか、と思うのです。作品にも自ずと寿命というものがあり、きちんとした照明で観ることができない作品は、公開できないもので、冷暗保存室で保存延命を図る作品、ということになるのではないかと思うのです。
人が制作した作品で、未来永劫に命を繋ぐ、というものは有り得ないと思うのです。人に寿命があるように作品も寿命があるのだと思います。他者に鑑賞してもらう目的の作品は、他者の鑑賞に耐えられなくなった時に、その生命を終えるのだと思うのです。そういった時の流れと儚さを認める覚悟を持つことも、美術作品に向かう時の心構えのひとつなのではないか、と思うのです。
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<きょうのおまけ>
花器=バカラ・ゴブレット
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「コンニチワ、わたし菫(すみれ)です。ここんとこパパは怒りっぱなしなの。で、わたしも怒ることにした。
この間もパパのお腹の上で寝ていたら、テレビを見ていたパパが突然、バカヤローって怒鳴るのよ。なにかしらと思ったら、テレビでソーリダイジンとかいう口のヒン曲がった人が所信表明とかいってワケの分からない質問を言ったンだけど、それに対してミンシャトーのオザワってねぼけ顔のオヂサンが答えたの。パパはどっちが総理か分からない!って言ってた。パパが教えてくれたンだけど、オザワってオヂサンの方がよほどグタイテキな政策を話したンだって。コクミンに分かりやすいコトを話したオザワサンはソーリダイジンじゃないんだけど、肝心のソーリダイジンよりよっぽど国民に分かりやすい話をしたンだって。何日か後に、タナカヤスオっていう小デブのオヂサンが国会で質問した時もパパは、的確な質問をしているのに大臣の答えが真面目じゃない、って怒ってた。
パパは前からネンキンについて相当怒ってた。まともに老後を送れるような額でもないネンキンなのに、それを集める国がメチャクチャなやり方をしていたんだって。そして欲しけりゃ国民から言って来いって態度なんだって。パパは、老後を安心して送れないような国じゃ、安心して子供なんか産めないじゃないか!、少子高齢化はもう何十年前から分かっていたことなのに、何の方法も考えてこなかった役人や政治家達は、国家的犯罪者だって言ってた。金返せ!って怒ってたヨ。
パパが怒って怒鳴ると、お腹が動いてわたしが寝にくいの。お願いだからパパを怒らせるの、やめて!。しまいにはワタシも怒るヨ。」
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