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忘れえぬロシア、遥かなるモスクワ

このところ都内の複数の美術館で、ロシア美術展が開催されています。その中で渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムで催されている『忘れえぬロシア 国立トレチャコフ美術館展』(~6月7日)を観ました。

ザ・ミュージアムでは以前、ロシア・アヴァンギャルドという展覧会も行っていて、ロシア革命時からの現代絵画の展示なども行っていました。また最近、あちこちのギャラリーでもロシア絵画や美術品の展覧会も行われていて、ちょっとしたロシア美術ブームの観があります。

0082_2 今回観たトレチャコフ美術館というのは現在、10万点を越える収蔵品を誇る、ロシア最大級の美術館のひとつということで、1851年に遡るという歴史があるそうです。当初は、商人で工場主であったパーヴェルとセルゲイのミハイロヴィッチ・トレチャコフ兄弟が収集し、自宅で開いた美術ギャラリーが発展したもの、といいます。

この美術館は、世界有数のロシアファインアートのコレクションが有名で、ことにロシアのギリシャ正教改宗以降から近代までのイコンの収集は世界一という評価があります。中でも12世紀に描かれた『ウラジーミルの生神女』『至聖三者』は、ロシアイコンの傑作といわれています。

0061しかし今回の展覧会は、19世紀から20世紀初頭にかけてのリアリズム、印象主義の絵画75点、というものでした。

もとよりロシア美術に疎い私としては、その精緻な写実作品群には驚きました。絵画作品ではあるのですが、画角の中の風景全てを精密に描き尽くす作  品ですが、こ0059 れらの牧歌的な雰囲気を漂わせる1800年代の作品群は、作品によほど近づいて見なければ詳細は分からないほどです。また、白樺林などの風景や、人々の何気ない情景を描いた作品は、明るい光が溢れていて、ロシア革命、その前後の暗い民衆の力、そしてその後の共産主義、社会主義国家としてのロシア民族の歩みに、月並みな重苦しいイメージを持っていた私としては、これまでのロシアへの思いを払拭させられました。

肖像画のセクションで驚いたのは『トルストイ』『ツルゲーネフ』『チェーホフ』といったロ0062 シアの文豪を描いた3作品でした。彼らの書いた文学作品は、それぞれ馴染みのものですが、こういった作家達の肖像画を観ると、ロシアの文学史も、より現実味を帯びます。

肖像画の中で一点、ニコライ・ヤロシェンコが描いた「学生」という作品がありました。若い男が黒いつばのある帽子をかぶり、黒っぽい服、黒く長いマフラー、茶色の短い外套を着て、画面に向かい斜に構えている作品です。挑むような目は、いかにも若さを武器に、世界に向かって挑戦しているといった感じで、その雰囲気がどこの国の若い男も持っている尖った若さを表現していて、なかなか良い作品だと思いました。

0044_2 この展覧会のポスター、チケット、図録などに使われている、馬車に乗っている若い女性を描いたイワン・クラムスコイの作品「忘れえぬ女」は大作で、そのモデルや、時代背景などについて様々な謎があると言われています。しかし天邪鬼の私は、黒い毛皮の服と、女性の背景にある建物群との構図に感心する程度でした。

でも「面白かったぁ、目からウロコが落ちた」そんな単純で新鮮な驚きの展覧会でした。しかし肝心の、トレチャコフ美術館の至宝、イコンの展覧会は・・・トレチャコフ美術館のあるモスクワに行かないとムリなのでしょうネ。遠いなぁ・・・。

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<きょうのおまけ>

Ts380146_2 『仏手』(長、15cm)

地蔵菩薩の左手。手に持っているのは宝珠。

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〔菫(すみれ)の独り言〕

Ts380117

「先日、トウタマ(父様)から、今月から始まった裁判員制度についての説明を、トウタマのお腹の上で聞きました。トウタマの話によると、今度の裁判員制度って、殺人事件とか大きな事件の裁判に一般市民が参加して、刑罰を決めたりするんだって。でもトウタマは昔、テレビ局の警察担当報道記者だった経験から、モノ凄い事件現場の記録写真とかを沢山見ているらしいの。それで、その担当を外れてから何年たっても、その凄く惨たらしい事件現場の写真を思い出すんですって。トウタマは、あんな凄惨な事件現場の写真や遺留品なんか見たら、気の弱い人はPTSDになるナ、って言うの。ここでは詳しくは云わないけど、トウタマの話を聞くと、思わず耳を塞いじゃうような話よ。トウタマは当時、事件記者だったから、仕事への使命感で、そんな現場写真も見たらしいけど、そういった職業としての覚悟の無い人や、訓練を受けていない普通の人は、相当な精神的ショックを受ける、って言ってたわ。今回の裁判員制度では、そういった精神的に弱い人への配慮がまるでなされていない、って、トウタマ怒ってた。無理やり裁判員にさせられて、そんな怖い写真を見せられて、引きこもりにでもなったらどうするのよネ。そういった被害者が出てからでは遅いって、トウタマが怒るの分かるわ。無神経な制度だわ、と私は思いました、ハイ。それじゃまたネ~。」

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